2009/08/28

ペット葬儀

愛猫の葬儀を行った。

昔はペット葬儀なるものは一般的ではなかった。
お世話になっている動物病院にお願いし‘処分’してもらうのが普通だった。
昨今のペットブームで人間のような葬儀を行う業者が多数存在するようになった。
24年生きた猫だ。葬儀をして送り出したかった。家族全員の気持ちである。

家族が揃っているタイミングで亡くなった、と書いたが
帰省している妹が居住先へ戻るため翌日夕方の航空便を予約しており、
また私の休日が木曜なので 8/27 午前に行いたかった。

近隣の業者数箇所へ電話する。
8/27が友引なので行えない、
(実は友引の由来は仏法に何の関連も無く、業者が休みを取りたいから言い出したモノ)
という業者が多く焦ったが、それに拘らない業者を探し当てた。
業者指定の火葬場へ出向くつもりでいたが出張できるという。
火葬車なるものを出動し、自宅で供養の後に火葬するという。

実際は弟が電話のやり取りをし、後から聞かされたのだが
家族の都合を考えると願ったり叶ったり、即決したようだ。

仕事から帰宅しそれを聞かされ、え! と思う。
ペット葬儀の事は知っていたが‘出張’火葬とは…。
慌ててネットで検索すると殆どの業者がそれを行っている。
火葬車なるものも最近は小型化されて一般の駐車スペースに入庫可能。
おまけに火葬炉(?)もダイオキシン等有害物質を発生せず煙も僅か、
ご近所に迷惑をかけず行えます、とのフレコミである。
半信半疑なのだが決めてしまったものは仕方がない、翌日を待つ。

当日、約束の10分前にその業者が現れた。
(まずは合格、時間にルーズな奴にマトモな奴は居ない) ← 後に覆る 苦笑
居間に祭壇セットを運び入れ並べ始める。
駐車場を見て驚く。小型車じゃないじゃん! 4トントラックである。
慌てて確認に行くと案の定駐車スペースをはみ出し隣家の敷地にかかっている。
業者にそれを伝えると 「40分程度で終わりますから。」
年齢は60代だろうか、前頭部禿げ白髪頭の業者は近所迷惑を意に介さない様子。
いやいや、お隣は夜勤がありもうすぐ帰ってくる時刻、
裏に空き地がありますからそこへ移動してください。 と言うと
「もう火葬車の準備しちゃったんですよねぇ…、
じゃ仕方ない、祭壇を完成させたら移動します。」
顧客の希望や他人への迷惑より祭壇作りが優先のようである。

嫌~な悪寒… ← すぐに的中と判明する。

10分後、祭壇が出来上がると 「猫ちゃんの好物をお供えします、出してください。」
妹がかまぼこを差し出す。
それを見た業者は鬼の首でも取ったかのような勢いでしゃべり始める。
「あ~、かまぼこなんか与えてたんですか。
これ良くないんですよ、犬猫20匹以上それが原因で死んでるのを見てます。」
「いやぁ~犬猫は好きなんですけどね、かまぼこ。
でもね大型犬ならまだしも小型犬・猫はだめです。20匹以上死んでますよ。」

まるで‘かまぼこ’が原因で愛猫が死んだような口振りである。
そもそもかまぼこが犬猫に悪い、なんていう医学的根拠は無い。
せいぜい‘人間用’は塩分が多いとかその類の説である。

妹はカチンときたのか、若く元気な頃は煮干小魚中心の粗食で育てた。
歳をとって持病が出始めた頃よりかかりつけ獣医の指導で治療用缶詰食、
好物のかまぼこは調子の良い時に極偶に僅かに与える程度だった、と反論する。

「そ~ですか、でもね20匹以上死んでいるんですから。」
業者は相変わらず馬鹿の一つ覚えの持論を繰り返す。

さすがに自分も堪忍袋の緒が切れた。
あのね~、24歳の猫なんですよ。平均寿命の2倍生きた猫なんですよ。
かかりつけ獣医にも指導を受けながら食事を決めていましたし、
かまぼこが猫に悪いなら何故こんなに長生きだったのですか?
(馬鹿を相手にする自分も馬鹿だな~と思いつつも…)
そもそも愛猫が亡くなって失意の家族にこんな事を言いますか?
(マトモなオツムの人間ならこんな時に言葉になんか出さないよ。) ← 心の声

すると業者は 「気分悪い、(葬儀)止めます、帰ります。」 と逆切れ。
商売をしている自覚が無いらしい。

すると妹が涙目で今夕の飛行機で居住先へ帰らなければならない。
別の業者を手配する時間が無い。何とかお願いします。と言い出した。
…しまった。家族一猫思いの妹の都合を考えてやらないと。

業者は 「だってこんな事言われてできませんよ。」
自分で火種を作っておいてよく言うな。
アナタが失礼な事言い出したんでしょ。私はそれに反論しただけだ。
妹に悪いと思いつつも我慢できなかった。それでも妹はお願いしますと嘆願する。
すると業者は私を指し 「この人が居るならやりません。」 とあくまで挑発的。
握った拳で殴りかかる寸前で思い止まった。妹を最優先しよう。
無言で居間を出る。

愛猫の葬儀は結局2時間かかった。(何が40分だ)
自室の窓から火葬車を覗くと結構な煙が出ている。(何が近所迷惑にならないだ)
後に聞いた話では私が部屋を出てからは急に愛想笑いをし始め、
自分の扱った中でメス猫ちゃんで24歳は最高齢です。すばらしい。
終いには火葬後、こんなにしっかりとした立派な遺骨は初めてです。
などとオベッチャラ三昧だったそうな。
(それにしてもよく喋る。男のオシャベリは大嫌いである)

妹には詫びを入れたが、家族全員私と同じ憤りを感じていたとの事。
帰り際に自社のペット墓地の宣伝と名刺を置いていったが、即破り捨てた。
ゆっくりと‘マトモな業者’を探そう。

私も仕事柄色々な人間と接するが、ここまで無神経で無礼な人間は珍しい。
年齢性別に関わらず馬鹿は一定の割合でいるのだが…

結論 : 出張のペット火葬は止めた方が良いですよ。

2009/08/26

黙祷

愛猫が先程亡くなった。
老衰だった。大往生だった。
24年連れ添った猫だった。
猫の平均寿命の2倍生きた猫だった。
私が大学生の時に家にやってきた捨てられた子猫だった。
高校生の息子より年上の猫だった。
頭の良い猫だった。
遠くに住む弟・妹が帰省しているタイミングで亡くなった。
家族に見守られながら息を引き取った。

愛猫よ安らかに。